世界的人気となっているLabubu(ラブブ)のキャラクター展開

キャラクタービジネス

●世界的人気となっているLabubu(ラブブ)のキャラクター展開

キャラクター評論家「ろばと でにろう」です

中国のIP企業POPMARTが展開するLabubu(ラブブ)が世界的人気となっています

Labubu(ラブブ)
(C)POP MART

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Labubu(ラブブ)は、香港の絵本作家カシン・ロンさんが考案しました

見た目はうさぎのような長い耳など一見愛らしいぬいぐるみだが、細長い耳に鋭い歯並びといった“不完全さ”を強調したデザインが特徴です
その独特な造形は、従来の「かわいいキャラ」とは異なり「かわいいけど不気味」「怖いけど愛嬌がある」という相反する魅力を兼ね備えています
こうした曖昧さや余白のあるデザインが、消費者に「物語や個性」を感じさせ、従来のマスキャラクターとの差別化につながっています

Labubuの人気爆発には、いくつかの決定的要因があります
・SNS時代の特徴として、まず芸能人やインフルエンサーがLabubuを愛用したことが大きな拡散効果をもたらしました
とりわけタイ王国とは結びつきが多く、Labubuが政府の公式観光キャラクターを勤めたり、ウボンラット王女がLabubu好きを公言したり、タイ出身のBLACKPINKのLISAさんもLabubu好きを公言していることなどがLabubu人気の後押しをしています
・アートトイ市場では特に希少性や「所有の誇り」が重視されるため、熱狂的ファン層が形成されていきました
・Labubu関連商品は生産数が限られている上、抽選販売やブラインドボックス販売を通じて「偶然の出会い」を演出する仕組みを採用しています
これにより希少価値が跳ね上がり、オークションサイトでは数百万円単位の価格が付くものまで登場しました
2024年には1体が108万人民元(約2,200万円)で落札され、ニュース性も相乗効果となりました
コレクション性とプレミア化という観点からも人気となっているというわけです

Labubuがキティやマイメロなど既存キャラと異なるのは、そのビジネスモデルとデザイン哲学にあります
・サンリオキャラが「安心感・癒し」を前提に構築されているのに対し、Labubuは「かわいさと不気味さの境界」に立っています
これが従来市場にない魅力となり、独自のファン層を獲得しました
・Labubuは単なるグッズではなく、アートや投資対象として流通する点が独特です
サンリオはマス展開を強みにする、Labubuは枚数限定・抽選販売によって「希少性=ブランド力」を築いているという戦略です

Labubuは、従来の“かわいい”の枠を壊し、不完全さや曖昧さを武器に世界市場を席巻した新しいタイプのキャラクターとして展開しており、サンリオ的な安心感とは真逆の位置からグローバルな若者文化を象徴するIPに成長したことこそ、その最大の違いであり人気の理由と言えます

ここで改めてLabubuとこれまでのキャラクターに対するコンセプトやビジネス戦略をまとめてみます

日本のハローキティやマイメロディに代表されるキャラクターは「安心・癒し・日常的な親しみ」を基礎に作られており、グッズ展開も文房具や雑貨、アパレルといった日常生活に溶け込む形が中心となっています
これは「かわいい」を全面に打ち出したキャラクター展開です
かわいいの基準は「丸み」「やさしい表情」「柔らかな色合い」で、万人にとって心地よい存在であることです

これに対しLabubuは、従来の「癒し系のかわいさ」とは正反対に位置しています
長い耳やギザギザの歯といった「不完全さ」「不気味さ」を前面に押し出し、“ブサカワ”というアンバランスな魅力を武器にしています
日本流ではマイナスとされた要素を、逆に個性として肯定するデザインであり「怖いけど気になる」「不気味だけど愛嬌がある」といった感覚が、グローバルなZ世代に刺さりました
ここには、日本のキャラクター文化が「調和と安心感」を優先してきたのに対し、Labubuが「違和感と尖った魅力」を武器にしているという鮮やかな対比があります

さらには
日本のキャラクターはマス市場を前提とし、なるべく多くの人に長く愛されるブランドづくりを志向し、価格も広く手に入れやすく、消費者の日常に寄り添うのが特徴であるのに対し、POPMARTは希少性と投資価値を前面に出し、限定販売や抽選方式を多用しています。これはLabubuは「誰でも持てる親しみのアイテム」ではなく「手に入れること自体がステータス」となる構造をつくり出しており、実際、2024年には一体が約2200万円で落札されるなど、アートトイとしての市場価値も急騰しました。
つまり、日本のキャラクターが「生活に溶け込む身近さ」を求めてきた一方、Labubuは「希少で特別な存在」という地位を築いているわけです

Labubuの成功は、日本のキャラクター文化が築いてきた基盤の上で、あえてその枠を壊し、対極から攻めることで成立した現象と言えます
それは「かわいい文化の進化」とも言えます

日本が築いてきた普遍的で安心できる“癒しのかわいさ”に対し、中国発のLabubuは“不完全さや不気味さも受け入れる、新しいかわいさ”を提示したのです

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キャラクター評論家 ろばと でにろう

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